雑然ワークス

プレイレポートを適当に。だいたいうろ覚え、内容はあやふや、台詞は捏造。

【D&D5e】ファンデルヴァーの失われた鉱山。その2回目(後半)

もうだいぶ記憶はうすれ、ただただ楽しかったというイデアだけを残しつつあります。
うおお……もう少し保ってくれ、おれの記憶!

◎ぼうけんしゃたち
同じセッションなので当然前回と同じ!

ところでゲームの最中にPLが抜けざるを得なくなった時には唐突にホワイトドラゴンを出してPLのいなくなるPCを氷漬けにするとそれっぽいと思うんですよ。ダンジョン&ドラゴン2でもオーバドハイのクレリックがやってましたよね。

 


さてそれぞれに情報を掴んだり厄介事を引っ張り出したりした冒険者達、起こったことをまとめるためにストーンヒルの宿屋に戻り、そっと部屋に引っ込んだ。

そして全員天を仰いだのがルゥナの話を聞き終えたときのことである。当然誰もルゥナが眠れる巨人亭へと一人で向かうなどと思ってもいないかった。でもすごくいいですよね、決断的単独行動……。

ともあれ真っ先に反応したのは武断のリーダー、アレッサである。
「大丈夫でしたか! 赤印組の連中、野放しにはしておけないと思っていましたがまさかルゥナさんに手を出すとは。もはや生かしてはおけません……!」
心配して駆け寄る姿に若干の百合の塔を感じたような気がしないでもなかったが、その実果断に果断を重ねた裂果の如き武闘派司祭である。

とは言え既に赤印組の連中と事を構えたのは事実。安穏とこの街で過ごすことも出来ない以上、早めに対処しておくのが吉かと行動方針も殲滅に傾いた。
となれば赤印組の根城を叩くのが定石だが、それらしい場所と言えば東のはずれのトレセンダー屋敷。
「そういうことなら、オールダーリーフ農園の子供が屋敷の近くで抜け穴を見つけたという話を聞いたぞ」
クラウスの言葉でひとまず真っ正面から突っ込むのではなく、その抜け穴というのを確かめに行こうと纏まった。

ところでトレセンダー屋敷と言えば、シルダー・ホールウィンターの同僚が最後にその付近をうろついていたという話もある。
と言うわけでシルダー、一行に口を差し挟み、実はと述べるところ彼がグンドレンの護衛としてこの町に足を伸ばした理由にはここで姿を消した同僚を探しに来たのもあるという。
トレセンダー屋敷まで行くのであれば、同僚であるイアルノ・アルブレックを探して欲しい。いや、トレセンダー屋敷近くで姿を消したというのであれば赤印組が手を下した可能性も高い。彼には務めがあった。その遺品だけでも見つけてくれれば……」
悲痛な声に一同、赤印組を根絶やしにすれば探し人についても何か分かるかと慰めを口にするのであった。
既に根絶やしが前提となっているのは、主にリーダーたるアレッサの人柄の為せる業といえよう。


一行が速やかにオールダーリーフの農園に向かったところ、農園の主は少し早い昼餉の時間を迎えたところであった。
人付き合いのいいハーフリングのこと、冒険者一行が礼を向けるところ嫌がるそぶりもない。赤印組とことを構えたらしいと匂わされても平然、そのまま家に招き入れたのはこの人物も赤印組に腹を据えかねているあかし。

なんとか許可も取り付けて、息子のカープに話を聞くところ、彼はつらつら抜け穴発見時の状況を供述した。

「あの日はたまたま森の方に遊びに行ったんだ。あぶないって言うけどなんともないさ。
 そしたらヤブのむこうにトンネルみたいになってるところがあって……。
 なんだろうって思ってたらバケモノみたいな山賊が出てきて。
 そっと隠れて様子をみてたらあの赤マントの連中がやってきて、山賊たちと何か話してたんだ。
 それからしばらくして、みんなトンネルの中に入ってった。
 うん、それで終わりだよ」

赤マントの連中というのが赤印組なのはほぼ確実、ということで赤印組の施設なのは間違いない。
更に供述に揺さぶりを掛けたり突きつけたりの作業を終えたところで、彼の言うバケモノみたいな山賊がバグベアであり、さらに2体いたことが判明した。
バグベア! バグベアといえばゴブリンの洞窟のボスである。それが2体……!
「もしかしたら善良なバグベアかもしれませんね」
「心優しい赤印組のひとたちが憎まれ役を買って出て、そのうちバグベアたちに追い払われるとかそういう……」
「泣いた赤印組か」
「ないな」
「ないですね」
戦慄が彼らを襲いかけたが、でも結局1ターンでしたよねって誰かが言ったので怯懦は遠ざけられた。

突入が決定したため、パーティは束の間時間を取って英気を養った。
なにしろ弾丸司祭の宣うところ、彼らの目的は赤印組本拠地の壊滅である。全力を以てあたるのみだ。

小休憩ののち、一行は少年に先導されて森の抜け穴へと向かった。
目立たぬ藪に隠れるように存在する抜け穴は紛れもなくトレセンダー屋敷に向けて繋がっている。

まだ本調子ではないシルダーにカープ少年を預け、一行は抜け穴を潜った。


しばらく進む内に辿り着いたのは何やら広い洞窟で、大きな裂け目が中央に走っている。壁面に据えられたランプが二本の柱と二本のボロい橋を照らしているところ、ここが生きた施設であることを示している。

「気を付けて行きましょう」
コンバットクレリックが一歩洞穴の中に踏み込むとヒョヒョヒョという円谷特撮めいた効果音が響き、おもむろにペテン判定が要求された。
当然高潔なる貴族がそんなものを持ち合わせているわけもないが、20面体の出目は16。
これは悪くないのでは……と期待も見えた次の瞬間、DMが振った出目が無慈悲に20を上にして止まった。
なにかよくわからないけれどよくないことがおきたに違いない。プレイヤー一同の顔に沈痛な表情が宿りつつ、ともあれ足を止める理由もない。
アレッサが一歩踏み込んだところ脳裏に響く囁き声。
『戦いたいのかい……それならどこにいけばいいかおしえてやろうかな……』
不愉快な雑音めいた理解不能の言葉の中、とりあえずそれだけを聞き取ったアレッサは険しい顔をして周囲を見回す。
「今の声、聞こえましたか?」
「え?」
テレパシックな囁き声はアレッサにしか届けられていなかったため、束の間不安げな空気が場を支配した。
とはいえアレッサ、弾丸司祭がこんなところでまごつくわけもない。脳裏に囁く声が食糧を寄越せばここにいる連中のことを教えてやると伝えてくるものの、返事もせずにずかずか奥へと踏み込んでいく。
『ちょ、待ッ! こういうときは足を止めて交渉がセオリーでアアアーッ!』
突き進んだことでアレッサの視界に隠れていた奇ッ怪なクリーチャーの姿が見えた。
前傾姿勢の人型生物に似た巨大な単眼のクリーチャー、ナシックである。他人の頭の中を覗いたりする邪悪な生き物だ。
『ハーフリングのガキでも寄越せば望むことを教えてやったものをーッ!』
豹変して襲いかかったナシックは、その邪眼の力で僅かにアレッサを傷付けたもののそのまま駆逐された。

一戦終えて周囲を確かめると裂け目から仄かに腐臭が漂うのに気付いた一行。
見下ろしてみると何やら人の亡骸らしきものがある。
アレッサが下に降りたところ、いかにも裂け目は不思議に空寒く、そしてにおいの源にはしばらく放置されていたと思しき亡骸が転がっていた。
「どうやらイアルノという人ではなさそうですね。引き上げて弔いましょう」
ということであれこれ引き上げられるよう準備をしているアレッサの視界にふと木製の櫃が飛び込んだ。橋の下、恐らく隠す意図で置かれた者と思しい。
どう考えても怪しいが放置するのも勿体ない。しばし議論が行われ、櫃はアルのメイジハンドによって引き上げられ、遠隔から開かれることになった。

亡骸を目立たぬように柱の陰に隠したのち、一同見守る中で櫃は開かれた。なお事前に罠がないことは確認済みである。
開いた櫃の中には乱雑に詰め込まれた貨幣と宝石、水薬と巻物、そして見るからに造りの良い大剣が納められていた。
ルゥナやアルの見るところ、恐らく過去のトレセンダー屋敷の主の持ち物だろうと思われた。
クラウス、束の間瞑すると出し抜けに大剣を手に取り、鞘から抜き放った。
「ならばこれを使って赤印組の連中を追い出してやろう」
ドラゴンボーンの屈強な腕で振るわれるグレートソードは恐るべき威力を予感させた。
具体的に言うと魔法の武器なので攻撃ロールとかダメージにボーナスがつきます。

ともあれ残りのアイテムについても鑑定し、それぞれ水薬がポーション・オヴ・ヒーリング、巻物がオーギュリィであることが判明した。
ポーションはともかく巻物はあんまり使わないんじゃないかな……という空気が漂ったが、まあ何事もないよりはね?

さて、洞窟にはいくつかの行き先が付属している。
うち一つの通路を進んでみると、左右に別れそれぞれ扉のある分かれ道に辿り着いた。
片やゴブリン語の嘲りが、片や賑やかに賭博をしているらしい声がする。
相談もそこそこに、ゴブリン語の聞こえる扉に飛び込む一行。

ゴブリン語の悪罵聞こえるその部屋には、バグベアバグベアバグベア、そしてゴブリン。
えっ普通逆じゃない? 数量バランスが予測と異なり一瞬呆気に取られる冒険者たちだが、驚いたのはゴブリンもだ。
驚きのあまりきゅうと意識を失うゴブリン、どうやらバグベアたちの憂さ晴らしの相手をさせられていたらしい。
バグベア達は唐突な侵入者にいきり立ち、手に手に武器を取って立ち上がった!

――哀しいかな、部屋は狭く、まさしくシャターの使いどきであった。
まず飛び込んだクラウスは部屋のなかのバグベア達にベインの呪文を叩き込み、するりと部屋の外に戻った。
ベイン呪文はこの魔法を受けた者の行う攻撃ロールやセーヴィングスローにペナルティを掛ける燻し銀の呪文である。
部屋の前にはアレッサが陣取り、もはや逃がさぬという構え。
続いて部屋の中を覗き込んだルゥナにより、シャターの呪文が叩き込まれた。
屈強な一体だけは耐えたものの、のこりの2体はモロに食らって大ダメージ、一気に削られて息も絶え絶え。

あと哀れなゴブリンはシャターに巻き込まれて死んだ。
哀れなゴブリンに救いあれ。

ただでさえ彼らは前回より強くなっているのだ。
数が多かろうが、序盤を制された段階で……!

ベイン呪文によって行動を阻害されたバグベア達の攻撃はたいした痛打も無くいなされ、彼らは見る間に切り伏せられ、この部屋に生きたバグベアはいなくなった。

幸いもう片方の部屋には気付かれていないことを確認し、一行はバグベアの部屋に篭もって鍵を掛けた。
一息、小休憩するには良い時分だ。ヒットダイスが消費されてHPは回復し、そしてルゥナの呪文スロットが回復した。
ウォーロックとかいうやつなんなの……呪文スロット回復しないで……。

一息ついた一行はもう片方の部屋に突き進むことにした。
いまだに賑やかに賭博に興じているらしいのを確かめると、一気に扉を押し開け突入した。
部屋の中では赤マントのごろつきが4人卓を囲み、そして一体の、何やらノームよりなお小さい妖精めいた輩。
「クイックリングだ」
人界よりそちらに親しみのあるルゥナがその存在を看破した。
邦訳されて間もない最新サプリ、ヴォーロのモンスター見聞録から選び出したクリーチャーであった。
だいたい常人の4倍の速度で走り抜けるこの小妖精は閃光のような速度で戦場を駆け抜けるのだ!

「ダッテメッコラー!」
「ナンオラー!」
即戦闘態勢に入ったごろつきどもが武器を手に手に立ち上がる!
イニシアチブのダイスはころころと転がり、クイックリング、ごろつきいずれも燦然と輝く20をアピールしていた。

クイックリングは椅子を蹴って飛び出すと次の瞬間部屋に一番に足を踏み入れたアレッサの前におり、幻惑するような動きで素早くダガーを三度繰り出した。
まともに食らったのは一発だけながら、その火力もごろつきとは比べものにならない。次の瞬間には元の自分の席でグラスを傾けてにやりと笑う。
高速移動演出いいよね! ぼくの好きな高速系ヒーローはフラッシュです!
更にごろつき達が襲いかかり、激しい暴力が投げつけられたがアレッサは倒れない。鉄壁であった。
しかしクイックリングは普通に殴ろうとしても当てづらく、さらにACも高く、敏捷セーブも得意である。
その厄介さに手をこまねきかけた時、アルが冷静に告げた。
「眠らせてやろう」
小さく合図をすると、まずクラウスが部屋に躍り込んだ。ごろつきどもへの牽制である。
そしてアルが呪言を唱え、一握の砂を投げ込んだとみるやクイックリングがふらりと揺れてそのまま意識を手放した。
スリープの呪文である。眠ったのはクイックリングだけだったが、その成果は計り知れぬ。
それに動揺した赤印組に、すかさずクラウスが炎のブレスを吐きかけた。
炎は違わず赤印組を焼いて、その動きを鈍らせた。
「やべえぞ! ガラス杖に知らせろ、敵だ!」
冒険者どもがただ者ならぬと知って親分に注進すべく動こうとしたが、既に遅かった。
ルゥナのシャターが響いたあとには赤印組に生き残りはいない。
アレッサの旗竿クォータースタッフがクイックリングを叩きのめすと、その亡骸は光の粒となって消えていった。

「ガラス杖?」
連中の呼んだ名を恐らくボスと推測しながら、逃げようとした先の扉を開けるとすぐ目の前にもう一つの扉がある。
だいたい屋敷の構造を考えると最奥にあたりそうな扉である。この先にガラス杖とやらがいるのであろう。
はたしてこのまま進んだものかどうか、冒険者はしばし議論した。
そもそも抜け穴から侵入しているので屋敷の前半はよく分からないし、洞窟の大部屋からこちら適当に選んだ方面を突き進んでいるだけで未踏領域もある、赤印組の連中はほぼ出会い頭に皆殺しなので何一つ情報などは確保していないのだ。
最速で最短で一直線ながら、それ故分からぬこともある。
このまま突き進むべきかどうか、当然情報も少ないし答えはでない。
「どうせです。これを使ってみましょう」
アレッサが取り出したのはナシックの櫃から得たオーギュリィの巻物であった。
こういうサクッとリソース消費できるのは素晴らしいと思います。

巻物を紐解いてテンパスに占断願うところ、即ち内容は「このまま最短距離を突き進みたいがこれは吉か凶か」というところ。
さてDM考えました。
実のところこのまま真っ直ぐ進むと赤印組のボスが放った使い魔がいて、パーティに気付いたボスはさっさと逃げるとシナリオに書いてある。
直接的な被害はないけれどこれは間違いなく良くない結果であろう。
ということで厳かに凶を宣言したところ、一行ザワリと動揺走る。
「もしかしてこのまま進んだら勝てない系の敵が……?」
「いやさすがにそれはないだろう」
「わからん。しかしD&Dだからな」
「ギミック系とか……?」
吉凶だけでは分からぬこともある。ええい仕方あるまいと一行最奥に足を踏み入れるのを取りやめ、この地下洞窟内のまだ見ぬ部屋に向かうことに。
ひとまず向かった最奥近くの物置部屋、軽く見る限り行き止まりで、なにやら資材置き場のようだが――というところでアレッサ気付く。
「おや……ここに空気の流れが」
近付いて見るところ、少し押すと隠された蝶番が見つかった。隠し扉だ。
それも最奥の部屋のある方向に繋がっている。
「……」
「……」
一同顔を見合わせ、そっと隠し扉の奥にあった通路を降りてみる。すると案の定、もう一つの隠し扉。
「……」
「……」
さすがに隠し扉から敵が飛び出してくることを常に警戒しているやつなんているわけもない。

唐突に押し破られた隠し扉、飛び込む冒険者達。
目の前には黒い髭を生やした中年の男がおり、傍らにはガラスの杖。部屋の本来の入り口近くには小型の恐竜が。
「……は?」
状況に理解が及んでいないらしい男は一行を見て目を丸くしている。その顔立ち、シルダーが言った行方不明の同僚の特徴に適合するが、しかし囚われの身というには部屋の丁度は豪華で本人の服装も質が良い。
「お前達はなにもの――」
男が言い終わるより先に突撃司祭が突入指示を下した。
怒濤の勢いで駆け込んだクラウスが一太刀で恐竜を切り伏せると、続けてアルの矢が男を射貫いた。恐るべき痛打に動揺したところ、更にルゥナがヘクスブレードの呪いを放つ。
「な、な……!」
何しろ巨大な多眼の獣が見下ろしてくるのである。コワイ!
男の身が竦んだその瞬間に、ルゥナの魔剣が男の意識を刈り取った。
今回は手加減して命までは取らない見事な動きである。

「……で」
「おそらくこいつがガラス杖……か?」
「とりあえず身包み剥いでおこう」

何もしないまま倒されたボスであるが、その服装やら傍らの杖やら、あからさまにウィザードなのである。
ウィザードを捕獲する際は身動きを思うように取れないようにして身につけているものすべて没収すべし。そういうセオリーに従いそのようになった。

ともあれこれがボスであるならそろそろ情報が欲しい。
一行は簡単な家捜しののち、無力化した男を起こして話を聞くことにした。

「うう……何故こんなことを? 私はイアルノ・アルブレック。善良な魔術師だ」
自称イアルノがそのように口にしたところ、すかさずアレッサの杖が男に一撃をくれた。
「つまらない嘘はつかないでください」
コワイ! 戦の神格の賜物か、まったく暴力行為に抵抗がないのだ。
「ああ、分かっている。赤印組の行為には胸が痛むよ。もっとスマートなやりかたを教えようと」
再び打擲。その顔に慈悲はない。
「……分かったよ! 私がガラス杖だ! 赤印組を組織したのは私だ!」
ついに観念して、イアルノは聴かれることに何でも答え始めた。
イアルノ言うところ、彼はこの地で黒蜘蛛というダークエルフにそそのかされて赤印組を作り上げ、その首領に収まっていたのだという。
さらには黒蜘蛛を通じてギザ牙族のゴブリン達からバグベアたちを戦力として借り受けていたという。
「シルダーさん……」
善良な戦士への哀れみ混じりの沈痛な面持ちであった。


ともあれイアルノは虜囚となり、あとはここから出るばかりとなった。
「どうせなら堂々と玄関から出ようぜ」
即ち未踏範囲を踏み越えて外に出るというプランである。
一同はイアルノを矢面に、入り口に向かって突き進むこととした。
当然罠などを知るイアルノが先頭で、しかも何かあれば命に関わる。
脅威はほぼ無力化され、一行は赤印組の残党に対処し、囚われていた木彫り職人の家族を解き放ち、ついでイアルノの隠していたものなどをまるきり没収してトレセンダー屋敷を後にした。


屋敷の外で合流したシルダーはイアルノを見て驚いたが、詳細を聞いて悲痛な顔になった。
信じて送り込まれたイアルノが誘惑にドハマりして赤印組のボスになるなんて!
ともあれ一行に謝罪を向け、イアルノに確認したいことがあるがまずは町長の事務所に向かおうと提案した。


捕縛した赤印組の連中とイアルノを町長の事務所に連れて行くと、町長は動揺しながら説明を求めたが、イアルノこそ赤印組のボスであり有り体にいって赤印組は壊滅状態であると理解すると途端に上機嫌になった。
「ありがとう諸君。こやつらならず者は確かに預かろう」
「……彼らはたんなる傭兵だったのでは?」
「おお、なんたることだ。私も謀られていたのだよなんと邪悪な連中だろう。だがもう安心してくれ! 君たち不在のうちに話は聞いたのでねえ」
町長の話を聞く内に冒険者達がどう考えても信用できねえよなっていう顔になったので、シルダーがすかさず頷いた。
「町長殿、よろしければ我々もこの町の治安維持に協力したいのだが」
すなわちシルダーとその後ろ盾が介入するぞという宣言であった。
一悶着あったものの予算やら町長の行いやらを盾にとって、最終的に町長も肯んじた。


なお、その後シルダー・ホールウィンターは密やかに、自ら領主同盟なる秩序を重んじる組織のエージェントであり、その指示を受けてやってきたのだとアレッサに告げた。
次いでアレッサを勧誘し、領主同盟に力を貸してくれないかと問うたものの、アレッサは力を貸すことこそ応じたものの、同盟への加入は丁重に辞退した。


ともあれかくしてファンデルヴァーの町の脅威を平らげ、一行はグンドレン捜索のために動き出すのであった。

よし間に合った!
次の回は本日の14時からなのであった。

もうちょっと軽く書くようにしたいですね……。